封筒工房(緑屋紙工株式会社)は、冊子「競争力を高める ものづくり企業大阪《令和元年度ものづくり補助金成果事例集》」に掲載されました。
この冊子は、ものづくり補助金を活用して具体的な成果を挙げた企業が掲載されているものです。
弊社では、断裁機をIoT化することで効率アップと作業ミスの減少、そして作業ミスによるロスを大幅に削減することに成功いたしました。
その成果が掲載されておりますので、以下にご紹介させて頂きます。
多種多用な封筒屋パッケージをIoTを活用して一貫生産
補助事業と具体的成果
【事業テーマ】
封筒製造工程における断裁計算システム【事業概要】
大きな原紙などから一枚の封筒サイズを切り取る断裁工程で、何枚の封筒が取れるかを自動計算するシステムを導入した。 これまで手作業で複雑な計算を行っており、時間が掛かる上に計算ミスによる紙の大量ロスが発生していた。 この課題解決のために、システム会社のフローワークスの作業管理システムと勝田製作所の断裁機を導入し、断裁機とシステムをIoT化。複雑な断裁工程の計算がパソコンで瞬時に計算できるようになり、作業時間の短縮や人為的ミスの削減につながった。
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課題
・多種多様なサイズの封筒を断裁するため、計算が複雑で時間がかかっていた。 ・断裁機の稼働率向上 ・作業員一人一人の生産性向上 ・計算ミスや断裁ミスによるロス
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取組み
・作業管理システムの導入 ・適切な断裁機の導入 ・作業監視システムと断裁機を連携するソフトウェアの作成
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成果
・計算ミスや入力ミスなど人為的ミスの削減 ・断裁ミスによる原紙ロスを削減 ・断裁作業時間の短縮 ・断裁工程の指導時間の短縮
【業務内容】
受注サイト開設をきっかけに独自路線を歩む
一般的な既製品封筒から、特殊紙やオーダーメイド仕様の封筒・パッケージ類の製造・販売を手掛ける。 元々封筒メーカーの下請けとして封筒加工業が主軸だったが、薮野浩明社長がIT関係出身だった経験を活かし、平成19年から「封筒屋どっとこむ」というサイトを開設。 ウェブ上でシミュレーションして封筒を注文できるスタイルを確立した。 薮野社長は「最初はどれくらい需要があるか不安だった」と当時を振り返るが、サイトを立ち上げて約半年後には月商約100万円を売り上げるまでに成長した。 平成20年には封筒屋どっとこむ専門の子会社を設立して本格始動。 顧客からの要望を聞き取りながらノウハウを蓄積してきた。一貫した製造体制で特殊加工も可能にし、生産性も向上
現在では紙の仕入れや印刷・加工の手配、納品まで一貫した封筒製造を行う。 封筒以外に、アパレルや食品などのパッケージも製造。 同業他社では断られるような複雑な形状の封筒窓の加工なども可能だ。
今回の補助事業では、断裁機のIoT化によって伝票番号を入力すると自動計算されるシステムを構築した。
断裁工程では封筒の構造を理解した上での計算が必要で、一ヶ月以上付きっきりの指導が必要だった。
【強みとビジョン】
独自商品を生み出す高い技術力が強み
同社の強みは高い技術力にある。 機械による量産が可能な極小サイズの「プチ袋」や、名刺サイズの封筒を実際に名刺にした「名刺de封筒」といった製品が同社の代名詞だ。 これらの製品は既存の枠にとらわれない柔軟な発想や顧客の要望などから誕生し、過去にはテレビなど各種メディアでも取り上げられている。先進技術の導入や新ビジネスの構想など攻勢
今回、断裁機のIoT化で業務効率の向上に成功したが、今後は画像処理を活用した検品作業の効率化も視野に入れる。 現在、印刷の一部分をチェックするため機械に小さなカメラを取り付けるなど検品の業務効率化を進めている。 薮野社長は「極力人手が掛からないように工夫している」と話す。 将来的には、人口知能(AI)による不良品の除去や印刷の汚れのチェックなどもできるよう研究を重ねている。 人材教育のノウハウを体系化し、同業他社の人材教育を行うことも長期的な視点でビジネス化していく考えだ。 具体的には、同社の高い技術を持つ社員を他社へ派遣し技術力を広めていく。 薮野社長は「業界全体で協力して生き残れるような仕組みを作っていきたい」と業界の底上げも見据える。革新的な取り組みを進める「なんでもできる封筒屋」
当社は「おそらく日本一なんでもできる封筒屋」というキャッチコピーを掲げています。
今回の断裁機のIoT化をはじめ、将来的には画像処理を活用した製品の検品や人工知能の活用なども検討しています。
ただの封筒製造工場にとどまらず、生産性を向上させながらお客様の多様な要望に応えられるよう日々精進しています。
- 主な取引先:印刷会社、広告代理店、デザイン会社
- 主な保有設備:断裁機2台、エキセン機4台、製袋機10台、窓貼り機5台など
- 主力製品:オーダーメイド封筒、封筒を応用したアパレルや食品のパッケージなど