印刷タイムス様が、弊社が仕組み化に成功したIoT化断裁機について誌面に掲載して下さいました。
(2019年3月30日号)
作業効率アップを実現する仕組み 断裁ミスによる紙ロスも大幅に削減
封筒の製造一筋56年の緑屋紙工株式会社は、このほどこれまで手作業で行っていた断裁機のセッティング作業をパソコンで管理・セッティングできる仕組み化に成功したことを発表した。 これにより、一日の作業時間を約1時間削減するとともに、1~2か月に1度は計算ミスにより発生していた紙のロスも高い確率で発生しなくなり、ムダなロスを削減することにも成功。 すでに多くの封筒製造関連業者から注目を集める業界初の断裁機の生産管理システムとなった。これまでの断裁作業の問題点
封筒製造のはじめの工程である「断裁」は、大きな原紙・刷了紙(印刷済みの原紙)を封筒サイズに断裁する作業であり、一般的な印刷物と異なり、封筒は商品や種類によってサイズが異なり、断裁の計算に時間が掛かっていた。 計算作業は時間が掛かるだけではなく複雑で、数カ月に1度は断裁ミスが発生し、大量の紙のロスが発生していた。作業管理システム導入で一石三鳥を実現
そんな折に断裁機メーカーの株式会社勝田製作所(大阪市城東区、勝田 忠司 社長)より、「システム会社のフローワークスの作業管理システムを当社の断裁機に連携できる」との提案を受けたことがシステム導入にチャレンジするキッカケとなり、昨秋からフローワークスの作業管理システムと勝田製作所の断裁機を導入し、断裁機とシステムを連携するIoT化のテスト運用を行ってきた。 そして、一月より本格稼働する体制を構築。 この生産管理システムは、これまで同業界では存在しなかった仕組みであり、封筒メーカーが見学に訪れるなど、予想以上に注目を集めている。 今回、断裁機に管理システムを連携したことによって、緑屋紙工では- 作業時間の削減
- 紙のロスの削減
- 将来的にAIを導入するためのデータの蓄積
断裁の計算は複雑で時間がかかるため、ミスが発生しがち
断裁とは、1枚の大きな紙に封筒が2丁以上印刷された原紙や刷了紙を封筒1丁のサイズに断裁する工程のことを指す。 封筒のサイズは商品によって異なるため、断裁作業の計算は複雑で手間と時間を要する。 そのうえ、熟練のオペレーターでも数カ月に一度は計算ミスをしてしまい、断裁ミスが発生していた。 断裁は一度に約500枚の紙を切るため、1回の断裁ミスが大きなロスとなってしまい、この断裁ミスによる紙のロスは、長年の悩みの種となっていた。断裁機をIoT化することで現場はどのように変わったのか
これまで1案件あたり約10工程ある断裁機の設定数値全てをオペレーターが電卓で計算。 そして、電卓で計算した数値を断裁機に直接入力していたため、人が電卓で計算していたほか、断裁機に人が直接入力するためにミスも発生しやすかった。 しかし、断裁機をIoT化することにより、次の改善が図られた。- 断裁の工程をすべてパソコンが計算してくれる(電卓の打ち間違いが発生しない。断裁機への手入力間違いも発生しない)
- 断裁工程の作業時間が短縮された(断裁作業のセット時間は従来の約半分で行えるようになった。1日当たり40件以上のジョブをこなすため、これだけでも1時間近くの時間を削減できるようになった。)
現場の声
「今まで断裁機にセットする数値を電卓で手計算していたが、電卓は打ち間違ったりする。その打ち間違いに気付かずに進めてしまえば大きなロスを発生させる原因となる。たから電卓の計算も2回以上やることもあり、計算に手間と時間が掛かっていた。その手間が一気になくなったので作業効率がグンと良くなった。」 「断裁ミスを恐れずに作業ができるようになった。心理的負担が軽減された。」IoT化断裁機の仕組み
緑屋紙工では、自社で開発した受発注管理システムを運用しており、封筒製造の受注があれば事務所で営業担当または事務スタッフが、この受発注管理システムに受注案件(封筒の仕様など)を入力している。 そして事務所で入力された受注案件は現場オペレーター向けの作業指示書に変換され、社内システムで共有される。 社内システムは断裁機に備え付けたパソコンとつながっており、このパソコンに断裁工数の数値を自動で計算するシステムが入っており、自動で計算した断裁工程の数値を断裁機に送信、セットされる。断裁オペレータの作業
断裁オペレーターは複雑な計算から解放されることとなり、断裁オペレーターがやることは次の通り- 断裁機に備え付けのパソコンで断裁作業する封筒の作業指示書を呼び出し、ハリやクワエ、糊代などの数値を入力する
- 「作成」ボタンを押して約10ある断裁工程をシステムに自動計算させる(約1秒で完了)。
- 「送信」ボタンを押し、自動計算された断裁工程の数値を断裁機に送信、セットする。